カードローンなどで手軽にお金を借りることができるようになった昨今、借金地獄で苦しむ人も少なくありません。借金地獄から抜け出すためには「なぜ自分が借金地獄で苦しんでいるのか」の理由を客観的に把握して、適切な対応をする必要があります。

この記事では、人はどうして借金地獄に陥ってしまうのかその主な理由4つと、借金地獄から抜け出すための8つの方法をまとめて紹介しています。

借金地獄に陥ってしまう理由の4つ

誰も好きで借金地獄に陥ってしまうわけではありません。それでは、そもそもなぜ人は借金地獄に陥ってしまうのでしょうか。そのための参考になる情報として、国がまとめた「多重債務者対策をめぐる現状及び施策の動向」(令和元年6月17日公開)のデータを紹介します。 

※参照元:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/kondankai/dai13/siryou1.pdf

以下、多重債務者が借金をしたきっかけをまとめた結果です。なお記事内では、上記調査を基に独自で計算結果を追加しています。 

借金の原因 回答数 全回答中の割合
低収入・収入の減少 2,131 31.2%
商品・サービス購入 1,147 16.8%
ギャンブル等 335 4.9%
その他遊興費 201 2.9%
事業資金の補てん 566 8.3%
保証・借金肩代わり 301 4.4%
借金の返済等 658 9.6%
医療費 499 7.3%
冠婚葬祭 14 0.2%
その他 981 14.4%
合計 6,833 100%

このデータを参考に、1つずつ借金地獄の理由をみていきましょう。

収入が少ない、もしくは収入が大幅に減った

上記調査をみてもわかるように、多重債務者が借金をした理由のおよそ3割は、「収入が少ないこと」「収入が大幅に減ったこと」です。同じ統計では、多重債務で地方自治体に相談してきた方の収入についても、以下のようにまとめています。(こちらも記事にて調査結果を追加しています。)

収入種別 回答数 割合
100万円未満 833 16.0%
100万円以上200万円未満 919 17.7%
200万円以上300万円未満 778 15.0%
300万円以上400万円未満 631 12.1%
500万円以上600万円未満 142 2.7%
600万円以上700万円未満 94 1.8%
700万円以上800万円未満 65 1.3%
800万円以上900万円未満 25 0.5%
900万円以上1000万円未満 12 0.2%
1000万円以上 43 0.8%
不明 1,652 31.8%
合計 5,194 100.0%

最も多い「不明」を除くと、相談してきたほとんどの方が、年収400万円未満、特に不明以外では年収300万円未満の方が約半数となる計算です。 

収入が足りなくて(もしくは足りなくなって)、生活費に充てるためにお金を借りる、遊びやショッピングのためにお金を借りる、といったことが多いと考えられます。

ギャンブルや買い物でお金を浪費する

上記調査をみていくと「商品・サービス購入」「ギャンブル等」「その他遊興費」との回答も、あわせて全体の約1/4(24.6%)と多いことが分かります。ギャンブルや買い物で、収入に見合わないぐらいお金を浪費してしまい借金地獄に陥る、というケースもよく聞くところです。

離婚や病気などでまとまったお金が必要となる

離婚して高額な慰謝料が必要になる、病気の治療費のために借金を重ねるといったことも多いです。上記統計でも「医療費」が7.3%と多いことが分かります。 

普段の生活も、収入の中でぎりぎり成り立たせているという人も少なくありません。そういった方が、まとまったお金を出費する必要が生じれば、借金しなくてはならなくなるというのは簡単にイメージできます。

高い金利の借金を複数作ってしまう

銀行や消費者金融のカードローンやクレジットカードのキャッシングは、簡単に借金をする方法としてよく使われる一方で、高い金利が発生することは覚えておかないといけません。借金が増えれば増える程、その金利の負担も重くなってしまうのです。

借入金額100万円もしくは200万円で、金利15.0%、借入期間5年10年とした場合に、返済総額がどのくらいになるかまとめてみます。

借入金額 金利 借入期間 月額返済額 返済総額
100万円 15.0% 5年 23,789円 1,427,375円
100万円 15.0% 10年 16,133円 1,935,955円
200万円 15.0% 5年 47,579円 2,854,766円
200万円 15.0% 10年 32,266円 3,872,055円

 ご覧のように紹介した例では5年で元金の約1.5倍、10年になると約2倍のお金を借金返済のために支払っていることが分かります。カードローンやクレジットカードのリボ払いなどで金利15%というのは珍しくありません。 

上記調査結果のなかには「借金の返済等」のため新たに借金をするという回答が全体の9.6%に上っていますが、これだけ利息の負担が重いのに、借金をどんどん積み重ねていけば、どんどん借金から抜け出せなくなる(=借金地獄に陥る)ことは、簡単にイメージできるでしょう。

借金地獄から抜け出すための8つの方法

借金地獄になぜ陥ってしまうのか、その主な理由はみてきました。その上で、どうすればその借金地獄から抜け出せるのでしょうか。主な方法を1つずつ簡単に解説します。

まずは、どのくらい借金があるかを正確に把握する

借金をたくさん抱えているにも関わらず、合計でどのくらいの借金があるのか把握していない人も少なくありません。借金を返済するためには「借金の合計はいくらで」「現在、毎月いくらの支払いが必要であり」「借金がいつ終わるか」を正確に把握しましょう。その上で、延滞せずに返済を続けていくためには、現状の収入と照らし合わせ追加でどのくらいのお金が必要なのかを計算します。さらに可能であれば、節約で支出を減らす、残業をして収入を増やすなどでお金を捻出するようにします。 

それが難しいようであれば、これから上げる他の方法についても検討してください。

返済計画を見直させてもらう

お金を借りている業者に、今のままでは借金返済が難しいことを正直に話し、返済計画を見直させてもらう方法です。「1回あたりの返済額を減らす」「返済期間を長くしてもらう」といった見直し方が考えられます。お金を貸している金融業者側も、お金をきちんと返済してもらうのがベストなので、利用者の相談に乗ってくれることも多いです。

借金のための借金をしない

これも非常に重要なポイントです。前述した通り、借金を重ねれば金利の負担も重くなります。現状でさえ、きちんと返済ができないのに、それ以上に借金を重ねれば、さらに返済が難しくなる上に、金利負担が重くのしかかることは言うまでもありません。

「借金のための借金」は絶対にやめましょう。それ以外で借金返済の方法がないか探ることを強くおすすめします。

家族や友人に事情を話してお金を借りる

「借金のための借金はおすすめしない」と書きましたが、事情を話して家族や友人にお金を借り、そのお金で借金を完済する方法はあります。借りる相手が家族や友人なら、非常に安い金利もしくは無利子で借金できる可能性が高いためです。 

金利が少なくなり返済先が家族や友人のみになることで、毎月の返済もぐっと楽になるでしょう。ただし、その後はきちんと返済を続けないと人間関係が悪化することになります。家族や友人にお金を借りる場合も、滞納せずに返済を続けなくてはなりません。

また「親しき中にも礼儀あり」で、家族・友人にお金を借りるときも借用書を残すことが推奨されます。あとで「言った言わない」の水掛け論になるのを防ぎ、人間関係を悪くしないためにも役立ちます。

お金のプロに相談する

お金のプロにアドバイスを求めることで、自分一人では決して思いつかなかった提案をしてくれる可能性もあります。幸い日本には、多重債務で悩む方向けの無料の相談窓口が数多く用意されていますので、少しでも興味があれば利用してみるとよいでしょう。一人で悩んでいるときよりも、心が軽くなるというメリットもあります。 

以下、主な相談窓口をまとめて紹介します。気になったところから連絡してみるとよいでしょう。 

名称 連絡先 概要
国民生活センター 188

※全国の窓口へ転送される

 

国民が安定した生活を過ごすための相談や苦情受付、調査研究等を行う独立行政法人。借金の相談も受け付けている。
日本クレジットカウンセリング協会 0570-031640(平日10時~12時40分、14時~16時40分) クレジット・カードローンなどの多重債務に陥った方に対して、公正・中立な立場でカウンセリングを行ってくれる機関
法テラス 0570-078374

(平日9~21時、土曜9時~17時)

借金・相続・離婚など法律に関連する様々な悩みを抱えているときに相談できる窓口。低所得者向けに、弁護士に無料で相談できるサービスも提供している。
日本賃金協会 0570-051051

(平日9~17時)

貸金業を営む消費者金融・クレジットカード会社等の業界団体かつ自主規制機関。債務についての相談窓口も設けている。
全国銀行業界 050-33856098

(平日9~17時)

日本全国の銀行が会員となっている一般社団法人。カードローンの多重債務で困ったときの相談窓口も用意している。相談場所は東京に限られるが、無料カウンセリングの予約も可能。

ここにあげた以外にも、各地方自治体でそれぞれ相談窓口や相談の機会を用意していることも多いです。気になる方は、お住まいの自治体に問い合わせてみましょう。

おまとめローンを使って返済の負担を減らす

おまとめローンとは、複数の借金を1つにまとめて返済できる金融サービスで、銀行や消費者金融によって提供されています。借入の状況や選択するサービスによっては、金利を下げることも可能です。 

以下、代表的なおまとめサービスの例を紹介するので参考にしてください。 

商品名 金利 最長返済期間
東京スター銀行おまとめローン 12.5% 10年間(120回)
中央リテールのおまとめローン 10.95~13.0% 10年間(120回)
プロミスのおまとめローン 6.3%~17.8% 10年間(120回)
アコムの「貸金業法に基づく借換え専用ローン」 7.7%~18.0% 13年7ヵ月(162回)

 なお、おまとめローンを使う場合は、今現状の金利と比べ本当に安くなるかをチェックしてみてください。おまとめローンにかえることでかえって金利が高くなってしまうようであれば意味がありません。

金利の低い銀行のカードローンにまとめる

消費者金融のカードローンと比べると、銀行カードローンの方が金利が安い傾向にあります。複数のローンを抱えているようであれば、より金利が低い銀行カードローンにまとめることによって、返済が楽になる可能性があります。 

以下、参考までに比較的金利が安い銀行カードローンの種類をリストアップして紹介します。 

サービス名 金利 限度額
楽天銀行スーパーローン 1.9%~14.5% 800万円
みずほ銀行カードローン 2.0%~14.0% 800万円

【最終手段】債務整理を実行する

債務整理とは、借金がどうしても返せなくなったときに法律的な手続きによって借金額を減らしてもらう、もしくはゼロにする方法のことです。借金地獄に陥ってどうしようもなくなったときにとる最終手段と言えます。 

借金で困ったときの相談窓口を上記で紹介していますが、状況によっては窓口で債務整理について案内されることもあるでしょう。

債務整理をしたい場合は、弁護士や司法書士にあらかじめ相談します。債務整理の主な種類は、以下の3つです。 

種類 概要
任意整理 債務者本人もしくは弁護士等の代理人が債権者と直接交渉をして、借金額を減らしてらう手続き。裁判所を通さないため、家族や会社に知られなくてすむが、他の2つに比べ減らせる借金額は少ない。
個人再生 裁判所に借金返済のための「再生計画」を認可してもらうことにより、借金額を最大で1/10まで減らしてもらえる手続き。この後に紹介する自己破産と異なり、自宅が処分されることはないが、この手続きをとるためには一定以上の収入があることが条件となる。
自己破産 裁判所に申し立て、養育費・税金などの非免責債権以外の借金をゼロにしてもらうための手続き。自己破産を使うと持ち家や自動車等、一定以上の価値があると思われる財産については全て現金化され債権者に配当されることになる。

なお債務整理を行うと、金融機関がもつブラックリストに掲載されてしばらくの間、新たにお金を借りたりクレジットカードを作れなくなったりするので注意して下さい。そういったことを覚悟して、他に借金地獄から脱出す手段がないときに使う方法と考えましょう。

まとめ

借金地獄に陥ってしまう理由は、いくつか考えられます。たとえば収入が大幅に減ってしまう、ギャンブルなどの娯楽にはまって使い過ぎてしまう、治療費等で急にまとまったお金が必要になる、金利の高い借金をしてしまうなどです。 

借金地獄から抜け出すためには、まず正確な借金の金額を把握した上で返済計画を見直させてもらったり、おまとめローンを使ったりする方法があります。またそれらの方法でも解決できない場合は、法律的な手続きによって借金を減らす「債務整理」を検討しましょう。