カードローンの借金に困っている方は少なくありません。この記事では、カードローンの利用者が実際にどのくらい借金を抱えているかデータを紹介していきます。そのうえで、借金を大きくしてしまう前、大きくしてしまった後それぞれの段階での対処法について簡単に紹介しています。
この記事の目次
カードローン利用者の約4割は年収の1/3以上の借金がある
一般社団法人全国銀行協会が2020年3月に公開した「銀行カードローンに関する消費者意識調査」(※)の結果によれば、カードローン利用者の借入総額の年収比は以下の通りとのことです。
※参照元:https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news320331.pdf
年収1/3以下 | 年収3/1~1/2以下 | 年収2/1~100%以下 | 年収100%超 | 不明 | 年収1/3以上の割合 | |
---|---|---|---|---|---|---|
銀行カードローン&貸金業利用者
(1,468サンプル) |
53.3% | 26.0% | 11.7% | 5.6% | 3.5% | 43.3% |
銀行カードローンのみ利用者
(479サンプル) |
71.0% | 10.0% | 4.6% | 5.8% | 8.7% | 20.3% |
貸金業のみ利用者
(487サンプル) |
77.8% | 11.9% | 4.1% | 1.6% | 4.5% | 17.7% |
こうしてみると、カードローン利用者の中には、年収の1/3以上借金をしている人が多いことが分かりますね。特に銀行と貸金業者(消費者金融)両方の、カードローンを利用されている方の中に多い傾向です。
上記は利用者種別ごとのデータとなっていますが、これを改めて計算し直すと以下のようになります。
【年収に対する借入金額の割合】
年収の1/3以下 | 58% |
---|---|
年収の1/2以下 | 22% |
年収と同じ | 10% |
年収を超える | 6% |
分からない | 5% |
年収1/3以下の方が約6割となっていますが、逆に1/3を超える方も4割近くに上ることがわかります。
総量規制という法律によってカードローンで借りられる金額は、本来年収の1/3までと定められています。しかし、このデータを見る限り、この法律が機能していないことが分かります。
カードローンで、年収と同じかそれ以上の借金を抱えている人は少なくありません。ここまで借金があると、完済するのは簡単ではないでしょう。それだけカードローンの借金に困っている方が多いということですね。
カードローンで借金が増えやすい理由
それでは、なぜカードローンでここまで借金が増えてしまうのでしょうか。その理由を探るために、また別の調査結果を参照してみましょう。カードローン利用者から取得したアンケート結果です。
【何を重視してカードローンを選ぶか】
金利の低さ | 41.0%(205名) |
---|---|
融資までのスピード | 37.8%(189名) |
審査が通りやすそうなところ | 20.0%(100名) |
その他 | 1.2%(6名) |
カードローンを選ぶ基準として最も多いのは「金利の低さ」ではありますが、「融資までのスピード」や「審査が通りやすそうなところ」を選ぶ方も非常に多いことが分かります。
他のお金の借り方と比べるとカードローンは確かに審査が通りやすい上に、すぐにお金を借りられるのがメリットです。「即日融資」をうたうカードローンも珍しくはありません。またカードローンでは審査さえ通ってしまえば、街のコンビニやインターネットなどから、上限額までならいつでも好きなときにお金を借りることができてしまいます。
カードローンが「借金」であることを忘れてしまう
これだけ簡単に借りられてしまうことから、カードローンが借金であることを忘れてしまう人が少なくありません。ATMやインターネットで手軽にお金を引き出せてしまうために、あたかもカードローンのことを、いつでもお金を使って良い貯金箱の1つのように考えてしまうわけです。
このような利便性の高さがカードローンが重宝され、ときには使い過ぎる大きな原因になっていることは間違いないでしょう。
カードローンで借金を増やし過ぎないために
カードローンは、お金を借りやすい利便性の高さがメリットと言えますが、そんな中で借金を増やし過ぎないためにはどうすればよいでしょうか? 1つずつ見ていきましょう。
カードローンは借金であることを認識する
カードローンで引き出せるお金は決して自分のものではありません。あとで必ず返済しなくてはならない「借金」です。しかも、この借金には利息というおまけもついてきます。返済が遅れれば遅れる程、より多額のお金を支払わなくてはならなくなるのです。
「なぜ借りるか」の目的をはっきりしておく
借金をするとき、「なんとなくお金が欲しいな」という安易な理由で借りてしまうことです。このように簡単にお金を借りてしまっては、借金がどんどん増えてしまいます。
お金を借りるときは「なぜ借りるのか」目的をはっきり考えることが重要です。「たいした目的でないな」と感じたら、お金を借りるのをやめましょう。
「いくらまでなら返せるか」を考えて借入額を決める
カードローンで借金をするときは「あと、どのくらい借りられるんだろう?」ということを考えがちです。そうして、まだ借りられる額に余裕があると分かれば、安易にまた借金を増やしてしまいます。
そこで、お金を借りるときは自分の返済能力を振り返り「いくらまでなら、返せるか」と考える習慣をつけましょう。これだけでも、気軽にお金を借り過ぎてしまうのを防ぐことができます。
返済計画を立ててから借りる
お金を借りるときは、その前に返済計画を立てるようにします。たとえば「毎月、このくらいお金を返さないといけないから、旅行するのはやめないといけないな」とか、「毎月の返済額はこのぐらいになるから、もっと残業して稼がないといけなくなるな」といったことをイメージできれば、必要以上の借金を作る歯止めにもなります。
お金を借りる前に契約内容をきちんとチェックする
カードローンは、借入先で金利や返済期限などの条件が違います。契約内容をよく確かめて、その条件で本当に返済できるのか考えるだけで無駄な借金を作ってしまうのを防ぐことが可能です。
借金返済のためにカードローンを利用しない
今の借金を返せなくて、新たな借金を重ねてしまうような状態が最もよくありません。この場合、現状として返済能力を超える借金をしている状態であることは明白であり、さらに借金を重ねれば余計に借金返済が難しくなるのは言うまでもありません。
「今の借金を返済するために新たな借金を重ねる」状態が続けば、雪だるま式に返せない借金が増えていき最悪な未来が待ち受けています。
カードローンの借金で苦しくなったらどうする?
カードローンの借金を増やさないための方法についてみてきました。それでは、現状もう返済が困難なほどに借金が増えてしまっているような状態のときは、どうすればよいでしょうか。ここでは、特に有効と考えられる方法をピックアップして紹介します。
お金のプロに相談する
カードローンの借金返済ができなくなって苦しくなったら、「お金のプロ」に相談するのも1つの手です。幸い日本には、借金で困っている方が無料で相談できる窓口が複数あります。専門家ならではの役立つアドバイスをもらえる可能性がある他、何より不安な気持ちを誰かに聞いてもらうだけでも心が楽になるでしょう。以下、参考までに借金の相談ができる主な窓口をピックアップして紹介します。
名称 | 連絡先 | 概要 |
---|---|---|
国民生活センター | 188
※全国の窓口へ転送される
|
国民が安定した生活を過ごすための相談や苦情受付、調査研究等を行う独立行政法人。借金の相談も受け付けている。 |
日本クレジットカウンセリング協会 | 0570-031640(平日10時~12時40分、14時~16時40分) | クレジット・カードローンなどの多重債務に陥った方に対して、公正・中立な立場でカウンセリングを行ってくれる機関 |
法テラス | 0570-078374
(平日9~21時、土曜9時~17時) |
借金・相続・離婚など法律に関連する様々な悩みを抱えているときに相談できる窓口。低所得者向けに、弁護士に無料で相談できるサービスも提供している。 |
日本賃金協会 | 0570-051051
(平日9~17時) |
貸金業を営む消費者金融・クレジットカード会社等の業界団体かつ自主規制機関。債務についての相談窓口も設けている。 |
全国銀行業界 | 050-33856098
(平日9~17時) |
日本全国の銀行が会員となっている一般社団法人。カードローンの多重債務で困ったときの相談窓口も用意している。相談場所は東京に限られるが、無料カウンセリングの予約も可能。 |
その他、全国の市町村が独自で無料の相談窓口を設けている場合もあります。興味がある方は、お住まいの地域の役所に聞いてみるとよいでしょう。
返済計画を見直させてもらう
どうしても返済が難しい場合、お金を借りているカードローン業者へ相談すれば返済計画(1回あたりの返済額・返済期間)を無理のない範囲で見直させてくれる場合があります。消費者金融や銀行としても、無事にお金を返済してくれるのが一番よいので、相談さえすれば返済計画を一緒に考えてくれることもあるわけです。
おまとめローンで少しでも返済を減らす
「おまとめローン」とは、複数の借金を1つにまとめることで返済を少しでも楽にするためのサービスです。おまとめローンを使うと複数の借金を一本化できる上に、サービスによっては金利が下がることもあります。ただしケースによっては金利が上がってしまうこともあるので、どちらが返済額が少ないかよく計算した上で利用するようにしましょう。
以下、参考までに代表的なおまとめローンの種類をピックアップしてまとめます。
商品名 | 金利 | 最長返済期間 |
---|---|---|
東京スター銀行おまとめローン | 12.5% | 10年間(120回) |
中央リテールのおまとめローン | 10.95~13.0% | 10年間(120回) |
プロミスのおまとめローン | 6.3%~17.8% | 10年間(120回) |
アコムの「貸金業法に基づく借換え専用ローン」 | 7.7%~18.0% | 13年7ヵ月(162回) |
金利の安い銀行カードローンにまとめる
消費者金融と比べると銀行の方が、カードローンの金利が低くなることが多いです。そのため状況によっては返済額を減らせる可能性もあります。興味があれば、現在の借金を銀行カードローン各社のローンでまとめたときに、どのくらい金利が安くなるか計算してみるとよいでしょう。
債務整理を行う
債務整理とはカードローンをはじめ借金の返済が不可能になったときに、借金額を減らしたりなくしたりするための法律手続きのことです。債務整理を使えば多重債務の悩みから解放される反面、金融業界のブラックリストにのってしまい、クレジットカードが作れなくなったり新たな借り入れができなくなったりするなどのデメリットもあります。
債務整理の主な種類は以下3つです。
種類 | 概要 |
---|---|
任意整理 | 債務者本人もしくは弁護士等の代理人が債権者と直接交渉をして、借金額を減らしてらう手続き。裁判所を通さないため、家族や会社に知られなくてすむが、他の2つに比べ減らせる借金額は少ない。 |
個人再生 | 裁判所に借金返済のための「再生計画」を認可してもらうことにより、借金額を最大で1/10まで減らしてもらえる手続き。この後に紹介する自己破産と異なり、自宅が処分されることはないが、この手続きをとるためには一定以上の収入があることが条件となる。 |
自己破産 | 裁判所に申し立て、養育費・税金などの非免責債権以外の借金をゼロにしてもらうための手続き。自己破産を使うと持ち家や自動車等、一定以上の価値があると思われる財産については全て現金化され債権者に配当されることになる。 |
債務整理は通常、司法書士や弁護士といった法律のプロに相談して行います。相談先選びが難しいという場合は、前述の法テラスへ相談して適切な司法書士・弁護士を紹介してもらうのもよいでしょう。
まとめ
カードローンは非常に利便性が高い反面、利用者の4割近くが年収の1/3近くをカードローンで借金しているなど、返済に苦労しているのが現実です。借金を大きくし過ぎないためには、返済できる分だけ借りる、借金を返済するための新たな借金をしないといったことを心掛ける必要があります。
万が一、借金で首が回らなくなってしまったら、この記事で紹介したようにお金の専門家に相談してアドバイスをもらったり、カードローン提供元に返済計画を見直させてもらったりすることで対処するとよいです。最終的な手段として、債務整理という法律手続きにより借金額を減らしたりゼロにしたりする方法もあります。